事実、世界の美容品市場は感染拡大初期に 約30%縮小 しました。しかし、アジア市場では他の市場・地域ほど美容健康製品の売上が低下しなかったため、APAC のウェルネス市場は 北米や欧州を超え、世界首位を占めました。感染拡大当初の世界的縮小から2年が経った今、世界の消費者はこれまで以上に健康やウェルネスへの関心を高めています。

McKinsey & Co. は、ウェルネス市場のうち、主力の美容健康用品の世界市場規模は$1.5兆に上り、年間成長率は最大10%に達すると見込んでいます。Eコマースだけでも 20% ～ 30% の成長が見込まれています。

美容健康用品市場の未来は次第に明確になっており、小売業者が適応できれば、将来の見通しは 良好 です。それでは、美容健康用品市場の未来を形成する3つのトレンドと、商機を最大限活用するために何ができるか見てみましょう。

非生活必需品を取り扱う大半の店舗と同様、新型コロナウィルス感染拡大当初は、美容・健康専門店の顧客数は減少し、デジタルショッピングが急騰しました。各地で客足が回復した後も（依然として2019年の水準には至っていませんが）、デジタルトラフィックが弱まる兆しはありません。それどころか、美容健康用品を取り扱う小売業者は、 インストアとデジタルトラフィックを統合することにより、シナジー効果を形成するイノベーションに注目しています。なぜ、客足を実店舗に向けるだけではダメなのでしょうか？理由は、オムニチャネルがコロナ後も定着することは明確だからです。小売業者は、この新常態（ニューノーマル）に適応（および活用）する方法を考える必要があります。

ソリューション

顧客のニューノーマル（新常態）に対応できるよう、小売業者はスタッフの配属や在庫管理の新しい方法を評価することを検討しなければなりません。スタッフ配属と在庫戦略にデジタルとインストアの顧客パターンを統合することが重要です。これは、とりわけオムニチャネルの急激な増加を経験した小売業者にとってはなおさらです。なぜなら、店舗を訪れる顧客数だけではなく、クリック・アンド・コレクトを使用する顧客の注文処理数も知る必要があるからです。

人数計測以外の機能も備えた、高度な 人数計測分析ソリューション を使用することにより、顧客の行動パターンと購入過程のインサイトを元に、スタッフは全体的な需要と特定の売場の需要の両方に対応できるようになります。同様に、 品目レベルの在庫インテリジェンス を活用することで、リアルタイムの透明性と精度が得られ、実店舗の販売状況により、カーブサイドの注文を処理できないといった状況を心配することなく、自信をもって在庫管理と販売活動を行えるようになります。

市場の支出傾向だけでなく、顧客の行動パターンも推移しています。これはつまり、優れたショッピングエクスペリエンスに求められる条件も変わったことを意味します。しかし、1つだけ変わらないことがあります。それは、体験型の小売に対する要望です。美容健康グッズはどれも、実際に試してみなければならないものが多く、購入決定前には見たり、香りを確かめたり、触ってみる必要があります。

それでは、変わったこと は何か？Sensormatic Solutions の小売専門チームは、望ましいショッパーエクスペリエンスに影響する 3 つの変化を挙げています。

• ロイヤルティ力
• オムニチャネル利用パターン
• 健康と安全を重視する姿勢

ロイヤルティ力の推移

一昔前であれば、ほとんどの顧客が特定のブランドやお気に入りの店のコスメカウンターで購入することをこだわっていました。現在の美容健康グッズ市場では、顧客はトレンドや製品をより重視する傾向が高まっています。消費者は様々なブランドのコスメ、スキンケア、その他美容・健康グッズの集合体を使用している可能性が高く、購入場所も様々です。

小売業者は、もはやロイヤルティを高めることを目的とした在庫のみに頼ることはできなくなっています。主要ブランドだけでなく、美容グッズのトレンドを意識した品揃えにフォーカスし、顧客が欲しい物が拡充されていることをアピールする販売手法を取り入れる必要があります。そうしなければ、顧客は躊躇せず欲しい物を見つけるために他の店に足を運びます。

美容健康用品市場におけるオムニチャネルの使用

オンラインだけ、または実店舗だけに限って購入する消費者はほとんどいなくなくなりました。美容健康グッズに限っては、新たなパターンが台頭し始めています。消費者は、毎日使用する物はeコマースで、新しいアイテムは実店舗で体験する傾向があります。

小売業者は、販売活動を 1 チャネルとして考え始めていると Sensormatic Solutions リテールコンサルタント（EMEA および APAC）の Andy Sumpter は指摘しています。

「実店舗でなければ、あるいはeコマースでなければ、とこだわる顧客は比較的少なくなっています」と、彼は述べています。「その代わり、小売業者は、消費者が新しいアイテムを試すために店舗を訪れ、日常的に使う物はeコマースに依存していることに気づき始めてもいます。」

目に見える健康衛生・安全

美容健康グッズを取り扱うドラッグストアやスーパーは、総じて必需品提供者とみなされており、自粛期間中や新型コロナウィルス感染拡大に対するその他の措置を受けても最悪の事態を回避することができました。しかし、一部の専門店では、そうではありませんでした。新型コロナウィルス感染拡大により、これらの店舗の客足が途絶えただけでなく、従来の美容健康用品市場にみられる1対1の関係を通じた店内体験も変化しました。

顧客は依然として、このような体験を望んでいますが、安全衛生面を考慮した方法で行うことが前提となります。顧客の信頼を獲得するためには、安全衛生措置が適切に施されているだけでなく、それを消費者に分かりやすく示すことが重要になります。つまり、貴社商品の衛生管理に関して分かりやすく掲載することが望ましく、顧客の前で実践して見せることができればなおさら良いでしょう。

ソリューション

小売業者がトレンドロイヤルティを活用するためには、その意思があるだけでは不十分であり、在庫、スタッフ、オムニチャネルを連携させ、消費者の目に安全であると分かる店内体験を形成する必要があります。

その重要なツールの1つが 正確な品目レベルの在庫インテリジェンスです。顧客がどこで買物することを選んでも、在庫状況を明確に知ることができます。来店時に欲しい物が見つからなければ、顧客は躊躇することなく他の店に行きます。

正確な顧客インサイト は、優れたショッピングエクスペリエンスを形成する上で重要なもう１つのツールです。小売業者は、どの売場の顧客数がいつピークに達するかを知ることができます。来店する顧客は、ほぼ確実に新しい商品を探しており、体験できることを望んでいるため、これは非常にパワフルなツールと言えます。もちろん、顧客インサイトを役立てられるのはスタッフ配属目的だけではありません。どこで、どのようにロイヤルティを促進する（そして、利益率を高める）トレンド商品を、最適な方法でアピールできるかも知ることができます。

どの市場でも損失に悩まされています。しかしコスメ品は価格ポイントが高く、形状が小さいため万引きに遭いやすいことから、美容健康グッズ市場では損失が特に大きな問題となっています。損失が及ぶのは収益だけではなく、在庫管理もしわ寄せを受けます。貴社のウェブサイトで「在庫あり」となっている商品を購入するために来店したお客様が、少し前に別の顧客が購入したため実際には在庫がなかった、といった状況に直面すれば、顧客を失う恐れがあります（この時点ですでに収益減が生じています）。

さらに問題を複雑なのは、商品をディスプレイケースに入れて施錠しておくこといった分かりやすいソリューションを使用すればショッパーエクスペリエンスが損なわれ、商品のサイズが小さいことから一般的に使用されているタグ装着ソリューション は実用的でないということです。では、小売業者はどうしたらよいでしょう？

ソリューション

損失防止は優先度が高く、どこで、どのように損失が生じているのかについて深い見識を得ることは、盗難件数を1つずつ阻止することよりも重要な場合があります。どの商品が、どのように、誰によって盗まれているのかを知らなければ、将来のリスクを適切に緩和する方法を知ることはできません。

RFIDによる電子式商品監視（EAS)などの損失防止ソリューションを活用することで、損失リスクを軽減が可能になります。EAS システム は既存のチャネルに統合でき、何が、いつ盗まれているのかについてインサイトを提供し、被害に遭った商品が、オンラインの販売プラットフォームに正確に反映されるようにします。さらに優れていることに、ビデオ監視 ソリューションを損失防止戦略に統合することで、疑わしい行動が検知されるとリアルタイムでアラートを発信し、誰が、いつ、どのように犯行を行っているのかについて、より詳細なインサイトを得ることができます。

新型コロナウィルス感染拡大を受け、新しいトレンドや、美容健康用品市場が良い方向に向かっている兆候が見え始めています。これは、小売業者はもはや「コロナ前の標準」に依存できないことを意味します。新しい顧客行動パターンに備え、ショッパーエクスペリエンスを重視し、損失緩和を強化することが、成長市場の流れに乗って利益を獲得するためのカギとなるでしょう。

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